交通事故にあった方の中には治療を受けたにも関わらず、麻痺の残存、可動域の減縮等の後遺症が残る方も残念ながらいらっしゃる。治療を受けても治らないのであれば今後の人生において生じる精神的苦痛等を金銭に換算して賠償してもらうしかない。その際に、負った後遺症がどれほど重いのかを14級に分類し判定するのであるが、これを一般に後遺障害等級認定という。後遺障害等級認定は自賠責の機関が客観的に判定するのであるが、その判定基準が定かではないのが問題となる。以下後遺障害等級認定をできる限り有利に認定してもらうための方法を記したい。
➀相手方の保険会社に等級認定の申請を任せない
当然のことであるが、相手方保険会社はお金をなるべく払いたくないので後遺症を負った方のために熱心に申請をすることは考え難い。私が過去に担当したケースで、歩けない程の後遺症を負った高齢の患者に対して、相手方保険会社は後遺症等級認定申請すら行わず極めて低額である100万円を提示していたことがあった。結果として粘り強く申請した結果第2級を獲得し100万円が2500万円程度まで跳ね上がったことがある。
②通院時点から担当医に症状を一貫して主張し、それを動画媒体に証拠として残しておく
後遺障害等級認定の際にはその症状が交通事故当時から一貫したものでなければ、それが交通事故によるものなのか判断できない。また、仮に症状を一貫して主張していたとしても証拠として残るのがカルテ等の書面だけでいる以上リアリティに欠ける面がある。従って私の経験上、受傷当時からの経過をスマホ等でもよいので動画媒体に証拠として残しておくことは極めて有効である。
③療養期間中は無理に働いたりしない
療養中に職場に迷惑をかけられない等の理由で働く方がいらっしゃるが、無理して働いたにも関わらず、自賠責の等級認定機関からすると「後遺障害が発生する程の怪我なのに働けたんですね、おかしいですね」となってしまい、後遺障害等級認定の可能性が下がってしまうことは否めないでしょう。従って、療養期間中はなるべく休業した方が後遺障害等級認定という面からいうと賢い選択となる。
障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
第1級 | 1100万円 | 2800万円 |
第2級 | 958万円 | 2400万円 |
第3級 | 829万円 | 2000万円 |
第4級 | 712万円 | 1700万円 |
第5級 | 599万円 | 1440万円 |
第6級 | 498万円 | 1200万円 |
第7級 | 409万円 | 1030万円 |
第8級 | 324万円 | 830万円 |
第9級 | 245万円 | 670万円 |
第10級 | 187万円 | 530万円 |
第11級 | 135万円 | 400万円 |
第12級 | 93万円 | 280万円 |
第13級 | 57万円 | 180万円 |
第14級 | 32万円 | 110万円 |