本件は7年同棲していた同性カップルの一方(Bとする)が異性(Cとする)と関係(性器挿入までは認められず)をもったことにより、同棲状態を解消したという事案において、一方が(Aとする)関係をもった両名B,Cを訴えたというケースです。本件では➀同性カップルに内縁関係に準じた法的保護が与えられるか②慰謝料を請求する場合性交渉まで必要か、が争われました。
➀同性カップルに内縁関係に準じた保護が与えられる
裁判所は、「近時、価値観や生活形態が多様化し、婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じ難い状況となっている。世界的に見ても、同性のカップル間の婚姻を法律上も認める制度を採用する国が存在するし、法律上の婚姻までは認めないとしても、同性のカップル間の関係を公的に認証する制度を採用する国もかなりの数に上っていること、かかる社会情勢を踏まえると、同性のカップルであっても、その実態に応じて、一定の法的保護を与える必要性は高いということができる」とした上で、同性のカップルであっても、その実態を見て内縁関係と同視できる生活関係にあると認められるものについては、それぞれに内縁関係に準じた法的保護に値する利益が認められると判断しました。
②不貞行為は
不貞行為は、挿入を伴う性行為がその典型例ではあるものの、内縁関係に準じて認められる原告の法的保護に値する利益が侵害されているか否かが本件の不法行為の成否を左右すると解する以上、必ずしも挿入を伴う性行為を不貞行為の不可欠な要素とするものではないと解するのが相当であり、かかる解釈に立つ以上、BCがB宅で数日間を共にし、Bも認めるキスやペッティング(挿入を除いた性行為)をしたことだけであっても、前記の利益を侵害するものとして不貞行為に当たることは明らかである。
以上を要約すると同性カップルが内縁関係と呼べるほど生活を共にしている場合には一方が異性、或いは同性と性的関係になった場合には挿入を伴っていなくとも損害賠償の対象になりうるということになります。
[vkExUnit_ad area=after]