ホテルや自宅等の密室内で性交渉そのものを撮影するなどして不貞の直接の証拠を獲得することは難しいので、通常は他の証拠から性交渉があったことを立証していくこととなる。そして以下では、二人が性交渉をもったことを推認させる写真・動画等による立証方法について述べたい。
まずは、探偵をつけるかどうかであるが、私は不貞による慰謝料を請求する場合にはあまり探偵をお勧めしない。なぜなら、探偵に頼んだ場合、探偵費用が数十万円、場合によっては100万円を超えることもあるので、完全に請求が認められて慰謝料がとれたとしても弁護士費用と探偵費用が獲得した慰謝料の金額を上回る可能性がでてくる。また、探偵を頼んでも空振りに終わる可能性もあることを考えると探偵に頼むことは金額面を考えると得策ではないことが分かっていただけるであろうか。
従って、以下では性交渉を推認させる写真等を自ら撮影する方法を述べる。
➀まず大事なことは、二人の顔が明確に判別可能であることである。事前に夜でも顔がわかるか、どれほどまでの距離なら顔が判別可能か等を入念にチェックしておく必要がある。なお、必ずしも二人が同時に映っている必要はなく、過去の裁判例でも、二人が別々にビジネスホテルから出てきた場合でも不貞の証拠として認められたケースがある。
②次に大事なことは、自宅やホテルに入室した場面と退室した場面を写真等で撮影することである。いずれかしかない場合や短時間の滞在しか認められない場合には、不貞を立証するには不十分とされる可能性がある。但し、必ずしも両方なければ不十分とされるというわけではなく、他の証拠と総合考慮した場合や、入室後消灯まで動画を撮影していた場合などは不貞を立証するのに十分であると判断される可能性はある。
③最後に、撮影の際はその撮影がいつどこで行われているかが客観的にわかる方法で撮影しておくことである。その際は自らの携帯の時刻表示等の自分が変更可能なものではなく、客観的なものを動画に映しておく等の必要がある。
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